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我々は半地下のある住宅を度々設計しています。その理由は様々です。

ですが、はじめからご要望にあるケースはむしろ希かもしれません。設計を行う諸条件から、意外と経済的に半地下空間が造れることが判明し、決断されるケースが多いように思います。

そのひとつが、地盤の条件です。建物の基礎は地耐力のある支持地盤に載せないと沈下の恐れがあります。支持地盤が深い場合は、杭を入れたり、地盤改良を行うなどの必要が出てきます。それには当然費用がかかります。

一方、都心の住宅は、家族の構成と敷地面積から、最大限に容積を建てないと必要面積が得られない場合も少なくありません。

支持地盤が1mくらいの深さにある場合は、半地下を造ることで、基礎を支持地盤に載せることと、同時に居室空間ができることが一挙両得に成立するというわけです。地盤面から地階の天井までが1m以下であれば、容積緩和を受けることができるので、決められた容積率の中で少しでも多くの空間をつくるには打って付けです。また半地下空間は、地下とみなされて地上階に入らないので、木造2階建ての場合、3階建ての構造や法的条件が適用されず、その分コストは楽になります。

土に接している半地下空間は住宅の基礎を兼ねているため、躯体を防水コンクリートで作ります。半分が土に包まれているため井戸水が夏冷たく冬温かく感じるのと同じ理由で、一年を通して比較的安定した温熱環境の空間になります。地上部の開口部を上手く工夫すれば、通風も確保できます。

また、コンクリートの防音性能も加味されて、開口部を二重窓などにすれば、半地下空間は、地上階に比べてかなり防音性の高い空間になります。

夏涼しく、冬暖かで、かつとても静かな半地下空間は、寝室や音楽室にピッタリな、おいしい空間になります。

寝室として利用している半地下空間
ピアノ室として利用している半地下空間


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