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前回はダクトとファンを使ったシステムをご紹介しましたが、確かに東京の都心部では、夏や冬のピーク時は、機械設備による冷暖房を全く利用せずに過ごすのは難しいかもしれません。少しでも環境に負荷を掛けずに過ごそうという考え方です。

最近の住宅では、屋根面での通気工法が一般的になってきていますが、今回ご紹介するのは、その屋根面で生まれる温かい空気や、冷たい空気をより積極的に取り入れ活用する、冬でも晴れていれば暖房はいらない、夏もさわやかな朝を迎えられるパッシブソーラーシステムです。金属屋根面の裏側に通気層を設け、冬季は日中の太陽熱によりこの通気層に生まれた温かい空気(晴れていれば冬でも50℃ぐらいになります)をファンで床下に取り込み(室内側の床面に換気ガラリなどを設ける、基礎断熱をした住宅であることが必要です)蓄熱し循環します。また夏の夜間は金属屋根面で起きる放射冷却現象を利用し、通気層内に生まれる冷気をファンで取り込み、基礎のコンクリートに蓄冷します。蓄冷された空気を循環することにより、家全体がさわやかな朝を迎えることができます。

冬季、天気が悪いと室内の温度も上がらないので、結局一番欲しい時に効力を発揮しないという意見もあるかもしれませんが、東京の冬は晴れが圧倒的に多いですから、天気の悪い時だけ他の暖房器具を利用しても、光熱費は抑えられると思います。自然の熱を活用するシステムとは、自然とうまくつきあうことであるのかもしれません。自然とうまくつきあうことでおいしい空間が生まれます。


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