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先月の原稿で書いた協同村の炊事場は、国産杉の木製単一パネル(Jパネルという杉材の繊維方向が互いに直交するように三層に積層させたもの。)だけで構成し、簡単な仕口加工だけで組み立てられます。パネルとパネルの間から光を取り込める明るいドームとなります。石巻で被災地支援のために提案させていただいた、加工作業や販売のためのスペースになるようなドームは、構造的には両端が地面に着いている安定したドームなのですが、今回は広場や川とつながるために、石巻で提案したような閉じたドームではなく、ドームの片側をはずしたり、柱や梁でドームを浮かせたりして、4方向に開放的なイメージです。4方向を開放して、空中に持ち上げたようなハーフドームなので、構造的に安定させるために脚部もJパネルの組み合わせ部材で作ったり、一部に小さなスチールのL型部材を使うなどいくつかの工夫が必要でした。簡素な繰り返しシステムのドームなので、求められる機能に合わせてある程度大きさを調整することも可能です。ちょっとした炊事場や集いのスペースですが、雨の日や夏の日差しの厳しい時でも使いやすく、協同村での体験がさらに楽しくなるような、おいしい空間になることを目指しています。

協同村の木陰(こかげ)ドームで、初めての試みを重ねることで、このシンプルなドームのいろいろな可能性が拡がりました。木の香りに包まれた、簡素なドームが、いろいろな建物に、あるいは住宅にも応用出来るかもしれません。おいしい空間が拡がって行きそうです。


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