Essay32

Home

Essay
Essay34


一昔前まで、木造住宅の屋根裏は天井を貼って隠すことが多かったと思います。あるいは天井に収納した階段で利用できる小屋裏収納として利用するケースもありますが、夏は特に蒸し風呂のような空間になり、入ることもままならない場所になりがちでした。我々は、小屋裏の空間を積極的にロフトとして利用することが多いのですが、その提案の際に、暑さを心配される方がとても多いのは、やはりそうした経験から来るのかと思います。小屋裏の空間は、その熱環境さえ改善すれば、とても快適で魅力的な場所になります。

それ以前に、容積率の対象から外せるため、面積を制限されがちな都心の住宅では、住まいを拡張できる絶好の空間となります。下の階の半分以下の面積で、かつ天井高が1.4m以下の空間であれば、容積率から外すことができます。また、窓は床面積の1/20以下、床から直接入れたり、直接屋上に出られる構造になっていてはいけない、固定階段をつけてはいけないなど、自治体によって許可される内容は異なります。(物置程度の利用であれば、容積率の対象から外せるというのが、建築基準法の基本的な考え方になっています。)

断熱材の性能が現在のように良くなり種類も増えたことから、従前のように天井材の上に断熱材を載せるのではなく、充分な量の断熱材を屋根面側に貼付けるように施工することで、ロフトも一般の居住スペースと熱環境的には何ら遜色のない空間とすることができます。さらにロフトの上部に換気扇を設置したり、換気窓を利用して家全体の熱気を逃がすような工夫をすれば、ロフトだけではなく家全体の熱環境の向上に役立ちます。

快適な熱環境となったロフトは住む人の工夫と使い方次第で、もう一つのおいしい空間になります。

子供室とつながったロフトは、ベッド空間として利用
畳スペースや書棚のある多目的なロフトは、下階の
リビングと窓でつながる


Essay32

Home

Essay
Essay34