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 Essay 21・・・・・・「おいしい空間・その6/床下の熱環境」

(共同執筆:TAICS/長谷川えいこ)


前回、冬は温かく、夏は冷たく感じる床下の温度を利用するための工夫をご紹介させていただきました。

既存の住宅の床下点検口に手作りのスノコ状の蓋を嵌め込んで夏場に涼を取り込む小さな試みだったのですが、

今度は新築で計画的に取り組んでみました。

既製品の床下換気口(写真)を室内外周部や内部の各所に設置しました。安定している土の温度を利用する効果は

想定していたものの、竣工写真の撮影で足を踏み入れた瞬間にその威力に驚きました。

外気温が30度近い暑さの日中、部屋の中はエアコンを入れているかのごとく涼しかったのです。カメラマンも

そのさわやかな室内の空気に驚いていました。計測したところ、室温は22度でした。

基礎のつくりはベタ基礎にしています。熱性能的には、熱容量の大きなコンクリート基礎の外側で断熱したい

ところなのですが、基礎の外側に断熱材を取り付けた場合、土に接しているコンクリートと外側の断熱材の間が

シロアリの通り道(蟻道)になる可能性があり、その方法は採用していません。基礎の立ち上がり部分と外周部か

ら90センチの範囲を、断熱材で内側から覆っています。こうすることにより、基礎のコンクリートは外気温の

影響をほとんど受けなくなり、井戸水と同じような夏涼しくて冬暖かい地中の温度と同じ温度を保つようになり

ます。そうして出来た快適な気温の一階床下の空気を、床下換気口(写真)から取り入れることにより、夏涼しく

て冬暖かい、おいしい空間が広がります。


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