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 Essay 20・・・・・・「おいしい空間・その5/床下の涼」

(共同執筆:TAICS/長谷川えいこ)


簡易耐震診断や住いの診断で屋根裏や床下を覗かせていただく機会が多いのですが、夏場の屋根裏は熱がこもっ

て本当に熱く、それとは反対に床下の方は実に涼しくて気持が良いのです。首を突っ込まないまでも、床下点検

口や床下収納の蓋をはずした状態でさえ、床上の空間はなんとなくすがすがしくなってきます。「夏場にはスノ

コ状のもので蓋をしたら、冷気が上がってきて部屋がなんとなく涼しくなるのでは」と、住いの診断でお伺いさ

せていただいたあるお宅でご提案させていただいたところ、早速写真のような手作りのスノコ状の蓋を後日に

はめ込んでくださいました。涼しさをため込む壺のようなものと言うことで、この簡単な仕掛けを「涼壺」と

名付けています。(今のところ、冬は閉じています。)

日の当たらない床下とほぼ同じような条件になると思い、半地下になっている私たちの事務所の配管スペースの
床面の温度を一年以上測り続けています。冬の外気温が5度ぐらいの時でも、床面の温度は15度ぐらい、

また、夏の外気温が30度を越えた時でも、床面の温度は25度ぐらいです。つまり冬は温かく、夏は冷たく

感じる、井戸水と同じ原理です。このどこの家の床下にも必ずある身近な温度差を、手軽に上手に取り込めば、

過度な冷暖房に頼ることなく、コストもかからず適度な涼しさや暖かさが楽しめます。(冬期の取り込み方は、

現在研究中です。)床下利用といえば、まずは床下収納を思い浮かべますが、床下の空間利用のみならず、さら

にその温度を床上にまで取り込むことで、おいしい空間がさらに広がります。


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