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 Essay 15・・・・・・「おいしい空間・その3/隙間の利用」

(共同執筆:TAICS/長谷川えいこ)


「おいしい空間」シリーズの

第3段は、隙間の空間を有効利

用する話しです。ところで、壁

の中はどうなっているかご存じ

でしょうか。昔の伝統建築は、

柱に貫(地震力に対抗する横通

し部材)を通し竹木舞(土壁を

塗るための下地)を組んだ上に

土壁を塗っていました。なので

壁の中はほとんど土壁(これが

断熱性能と調湿性能を持ってい

た)。つまり壁の中は詰まって

いたのです。現在行われている

伝統工法以外のほとんどの工法

では、壁の中には筋交いと断熱

材だけで、よく見ると意外とスカスカです。筋交いの代わりに面材を外付けする

工法にしたり、荒板を外側から斜めに取り付ける工法にしたり、また、断熱の方

法を内断熱から外断熱に代えたりすると、壁の中の利用できない隙間であった部

分が有効利用できる空間に変わります。柱が3面室内に現れてくることになるの

で、柱の奥行き分の棚を付ければ、12センチ角の柱であればちょうど文庫本が

納まります。もう一声棚

の奥行きを広げれば、立

派な本棚になります。つ

まるところ、家中の壁と

いう壁が本棚と化してし

まう事が可能です。壁の

厚み分が収納に有効活用

できることは、収納の悩

みのつきない現代住居に

とっては喜ばしい限りで

す。また構造体の露出面

が多いので、何か問題が

発生した場合にもすみや

かに発見し手を打つこと

ができます。木の面が多く現れているということは、それだけ木の呼吸を妨げず

に済むので、まさに森林浴ならぬ木林浴の、おいしい空間の家になります。


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